- Q.1
- 成年後見人はどのような業務を行ってくれることになりますか。
- A.1
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認知症や精神の疾患のため判断能力がなくなった方は,取引行為を行うことができません。
その方に代わって,法律上の権限をもって,判断能力がない方の財産を管理します。成年後見人が選任されると,成年後見人は御本人の利益のために全面的に財産管理を行うことになります。決して申立人(通常,本人の親族)のために行動するわけではありません。ですので,成年後見人が選任され,成年後見人による本人の財産状況の把握の過程で,次のような事実が判明した場合は,成年後見人は本人のために適切な対処をすることになります。- 親族が本人の財産をほしいままにしてきた
- 相続があったにもかかわらず本人が判断能力がないのをよいことに適切な相続の処理がなされていない,あるいは,遺留分が侵害されている
成年後見人は本人のために医療機関に入院することを内容とする医療契約を締結することはできますが,本人に対する個々の医療行為についての医療同意権は,成年後見人にはないとされています。
- Q.2
- 成年後見人の報酬は,どの程度ですか。
- A.2
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成年後見人は,年1回のペースで家庭裁判所に後見業務の報告をします。通常,報告とあわせて報酬付与申立てを行います。報酬付与申し立てを行わずに,自動的に報酬がもらえるわけではありません。報酬は本人の財産から支払われることになります。
本人の資産や成年後見人の業務の内容によりますが,こういった事情を除くと,年24万円~36万円くらいで定まっているように思われます。
- Q.3
- 成年後見人の権限が強大なため,成年後見人による横領などが報道されていますが大丈夫でしょうか。
- A.3
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以前から親族の成年後見人による本人の財産の横領などが報道されてもんだいになっていましたが,最近では,専門家(弁護士など)成年後見人が本人の財産を横領した事案も複数発生し,社会問題化しています。
専門家成年後見人による不正をなくすため,家庭裁判所では,収支状況報告書の提出を以前は求めていなかったところもありますが,その提出を求めるようになっています。1件1件の報告内容のチェックも細かく行うようになっているようです。
また,非専門家の成年後見人が選任されている事案では,そもそも横領などができないように,多額の現金・預貯金がある場合には,裁判所は,成年後見人に後見制度支援信託(後述)を利用することを命じていたり,成年後見監督人を選任するようにしています。
- Q.4
- 後見制度支援信託とはどのようなものでしょうか。
- A.4
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後見制度支援信託は,後見制度による支援を受ける方(ご本人)の財産のうち,日常的な支払をするのに必要十分な金銭を預貯金等として後見人が管理し,通常使用しない金銭を信託銀行等に信託する仕組みのことです。成年後見と未成年後見において利用することができます。信託財産は,元本が保証され,預金保険制度の保護対象にもなります。
後見制度支援信託を利用すると,信託財産を払い戻したり,信託契約を解約したりするにはあらかじめ家庭裁判所が発行する指示書を必要とします。
このように,後見制度支援信託は,ご本人の財産の適切な管理・利用のための方法の一つです。
「後見制度において利用する信託の概要」参照 http://www.courts.go.jp/vcms_lf/210034.pdf後見制度支援信託は,次の(信託)銀行で取り扱っています。