- Q.1
- 建物を貸していますが,家族に使わせたいので,借家人に明け渡してもらいたいと考えています。どうすれば良いですか。
- A.1
-
借家人に対して,解約申し入れをすることになりますが,それには正当事由が必要です。
借地借家法では,次の事情を考慮して,正当事由の有無を判断すると定めています(第6,28条)。- 賃貸人及び賃借人が借地・建物の使用を必要とする事情
- 賃貸人及び賃借人が借地・建物の使用を必要とする事情
- 借地・建物の利用状況、建物の現況
- 賃貸人が明渡しの条件として又は明渡しと引換えに賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合には、その申出
これらの事情を考慮して,解約を認めるか否かが決せられます。
この正当事由は,更新拒絶をする場合にも考慮されます。すなわち,正当事由なく更新拒絶をすることはできません。
- Q.2
- 定期借家契約をしていれば,賃貸期間の満了で契約を終了できると聞いています。定期借家契約とはどのようなものですか。
- A.2
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定期借家契約を締結すると,契約で定めた賃貸期間が終了すると借家契約が終了し,借家人は退去しなければなりません。原則として契約の更新はできず,再契約には貸主・借家人双方の合意が必要です。1年未満の賃貸借期間を定めて契約することもできます。
定期借家契約は形式を整えることが重要です。同契約は,公正証書等の書面による契約でなければなりません。また,「更新がなく,期間の満了により終了する」ことを契約書とは別に,あらかじめ書面を交付して説明しなければなりません。
- Q.3
- 借金が支払えず,土地・建物に設定した抵当権に基づき競売申立てがされました。どうすれば良いですか。
- A.3
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開札期日の前日までであれば,申立て債権者の一存で競売申立てを取り下げることができます。したがって,競売申立ての原因となった債務や申立て費用などを支払って,申立て債権者に競売申立てを取り下げてもらうよう交渉することが可能です。
しかし,借金を払えるのなら払っているでしょうから,競売申立てまで至っている事案では,大きな方針としては,次の2つのいずれかをとることになると考えます。- 債務(借金)が多額に上り,資産・収入状況に鑑み,借金の返済が見込まれないようなケースでは,自己破産を検討します。
自己破産をすると,基本的に他の財産も換価して配当に回される等しますので,すべての財産を失います。なので,事情によっては自己破産申し立てという手段をとることができないケースもあると考えます。 - 土地・建物を任意売却することが考えられます。任意売却ができれば,通常,競売よりも有利な価格で売却することができます。任意売却を行って,売買代金から競売申立ての原因となっている債務を支払ってもなお,残余があるようでしたら,債務者にとってはその金銭を有効に使うこともできるでしょう。任意売却を行う場合は,売買を実現して開札期日の前日までに任意売却を取り下げられるようにすることが必要です。
- 債務(借金)が多額に上り,資産・収入状況に鑑み,借金の返済が見込まれないようなケースでは,自己破産を検討します。